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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第19章 還るべき場所
 「天の岩屋戸という話があるの」
「……?」
「昔々の神語り。……あの人の悪さを恐れた天照様が、大きな岩で蓋をした洞に隠れ籠り、世界からは太陽が消えて昼も真っ暗になってしまったの。暗い世界には善くないものが蔓延(はびこ)って、人にも神にも沢山の災いをもたらした。そこで神々は知恵を出し合い、天照様を呼び戻そうとしたのよ。……あなたにも少し関係あるかしら。御令孫がお持ちになる宝の内二つは、その時、天照様をお慰めし奉るために造られたの」
「……」
 しかし、日嗣の話になると途端に眉を下げうつむいてしまう少女に、櫛名田はそれには触れず先を続けた。
「そうして天照様は祭られ、歌舞に興され再び御姿をお顕しになって太陽も戻ったけれど、あの人を手に負えない狼藉者としか見ない人には、この話はそれでおしまい。でも、そうではない人にはまた違ったものに見えるのよ。
……ねえ、神依。それが解ったなら、あなたがあの人に連れられてここに来た意味がきっと解るわ。意味の無いことなど、あの人は一度たりともしていない。……今日まで、あの人の母様の巫女として在ってくれたあなたには、きっと解るわ」
「……私には……わかりません……」
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