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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第19章 還るべき場所
 「誰か」助けてと言葉でごまかしても、その「誰か」の姿だけが思い浮かんで、それが叶わないことを再び認識すれば余計に悲しくなってしまった。
 こんな姿になってしまった自分は、あの美しい男には似合わない。最初から誰にも言われていた。
 自分が馬鹿だったのだ。あの時、差し出された手を払い除けた自分が悪い。その挙げ句、護り切ることもできずに沢山の人を傷付けて、男の優しい心を本当の紙屑にしてしまった。
 (……。……何だかもう、……疲れちゃった)
 もしもここから出れたら、あの文だけもう一度かき集めて。それを胸に抱くことくらいは許してもらえるだろうか。
(私は、それだけでいいから。……それでも、幸せだから……)
神依はそのまま、永遠に消えることのない炎の中でまた目を閉じる。
 代わりにぬかるみの大きな目が開き、神依の声でまた同じ思考を廻らすが、それが神依に聞こえることはなかった。

 ──もう、いいの?
 ──じゃあ、かえして。わたしをかえして。
 わたしはかえりたいの──お父さんとお母さんのところへかえりたい。
 わたしはちがう。
 あなたとは、ちがうの。

***

 「……」
「おお──神依。起きたか。うなされておったが、大丈夫かな」
「……?」
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