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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第19章 還るべき場所
 花と咲くこともできずに見せ物にされて、けれども蕾として、清廉にもあれなかった。乙女が憧れ、少女が味わい、女が囚われる何をも知らないまま、一人ぼっちで消えていく。
 そんな大層なことでなくてもいい。
 大好きな人と引き離されてしまうのが嫌だった。もう会えない、触れられないのが嫌だった。
 心がずたずたにされて、張り裂けそうだった。ただそれだけだった。
 「嫌……嫌だよぉ……ッ、っう、うぅう」
その寂しさは炎の色すら褪せるほどに途方もなく、果てしない。
 途端に世界はその自我を放り出して神依に突き返し、そのあらゆる孤独を押し付けられた神依はただただ一人泣きじゃくった。
 腹も虚無にへこんでいて、その上の乳房も若さだけの、ただの肉のふくらみに戻っている。最初はあんなに怖かったというのに、体中、どこか突っ張ったような痛みからの解放は、喪失感しかもたらさなかった。
 (……助けて……、……)
この孤独を癒すにはつがいの鳥を呼ぶしかない。けれど鳥は地の底には潜れない。また自分の惨めな姿にその名を呼ぶことすら憚られて、神依は口をつぐんだ。
 代わりに思い出ばかりが浮かんできて、心より深い場所にある何かが張り裂けんばかりに慟哭(どうこく)する。
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