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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第19章 還るべき場所
そしてそんなちぐはぐな心の中に浮かんできた曖昧な言葉を繋ぎにして、神依は助けを求める。
 それがどんな人だったか思い出せない。目覚めた後に思い出す夢のように朧気な姿で、けれど神依は助けを求めて呼び続けた。
 (お願い……早く……、助けに来て)
炎は背を撫でる程に近付いてきて、しかし神依はそれ以上に、自分の体の方が熱くなっていることに気付く。
 膨らんだ腹が茹であがるように熱くて、今背に迫る炎を宿したかと思う程に下腹部が痛む。
 ──ああ、生まれる。
そこにまた、別の女の声が混ざった。
 聞き覚えのある優しい声。しかし今はどこか切羽詰まったような──。
 ──熱い。熱い……! あなた……!!
その声が焦りを増すごとに体がじりじりと熱くなってきて、お腹が痛くて、神依はもう立つこともできずその場に踞った。
 「いや……お願い、やめて……!! 違うの……私は……違う、私は女神様じゃない、……お母さんじゃない……!!」
上からも下からも熱気に包まれて、肌が焦げていくのが分かる。
 ……とりわけ後ろ手に縛られ、今も炙られている背が酷い。ただ身を捩って、苦痛と熱波に喘ぐことしかできない。
 そう──これが、自分だった。
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