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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第18章 垂る穂
「そうやって、神依の身も炙ったのですか」
「黙れ! お前は何も分かっておらぬ──今のお前は玉衣と変わらぬ、身の内にあるのはわらわへの怒りとあの娘への執着だけじゃ。今お前が黄泉国に降りたとて、同じような妄執に呑まれ喰われて、あの禍津霊の如く穢れた神に堕ちるだけよ! そうやって何百、何千もの年月を費やして、次々に落ちてくる同じような穢れを貪りでかくなり、ついには根の国に収まり切らず染み出す禍津神を、どこの、誰が、祓うと思うておるのじゃ!! ──よう聞け──お前は我が世継ぎ、天孫、日嗣じゃ!! その名と身を汚すような穢らわしい国に、みすみす行かせる訳にはいかぬ──!!」
「穢れなど──それが何だと言うのです。それでも私と神依はあの美しい龍神を生み出しました。お祖母様──貴女がどれだけそれを嫌い、遠ざけようとも、それを人の身の内から完全に無くすことなどできない。命の理から無くすことはできない!
私が洞主と同じと言うなら貴女かて同じだ──貴女は何ゆえ淡島に天降り、ただ一人の無力な少女をいたぶり死の淵まで追いやったのです! 私には、洞主と同じ蛇が貴女の中に巣食っているのが視える。けれども神依とてきっと、そうなのでしょう。そして私も。──だがそれを拒むのは自らを、その生を否定するのと同じだ! 貴女が神でなく人であり、もう少し純朴であったなら、洞主と同じ道を辿っていた!!」
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