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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第18章 垂る穂
──それはかつて、どちらもが天照を慰め、讃えるために献上された神宝(かんだから)。またそれは今、この淡島にては……神依がその音を讃え、童が触れるのを躊躇した玉。神依の前で小さな水霊の首を落とし、また新たな龍神を生むにその威を誇った剣だった。
「ひ……つぎ……、お前──」
「根の国に降りるに私の名が邪魔をするのならば、日嗣の二文字と共にこれを置いていきます。今の私が戴くのは、神依の二文字だけでいい」
「な……ぁ」
「お祖母様──貴女の敷く道はいつも、眩しい程に白く美しいものでありました。人も宝も、私を飾るものは皆美しかった。その道は、踏み出せばきっとこの極上の畳の如く柔く、歩くに易い道であったのでしょう。けれど私は、その道を歩むには余りに潔白ではありませんでした。またそんなつまらぬ男のために、新たに身を焼く女神を増やす必要も無い。……根の国より、帰らぬつもりはありません。しかし高天原には戻りません。私は神依とあの忠臣と共に、いずこかの土の上にて生きていきます。それでよろしいですか」
「──この……大馬鹿者がぁ……ッ!!」
「……」
それだけを言い背を向けた日嗣に、天照は激昂した。
髪を逆立てんばかりに怒気を孕み、一瞬で様変わりしたその女神に誰もが顔を隠し、身を退く。しかし日嗣は恐れず、それを肩越しに認めるともう一度だけ振り向いた。
「ひ……つぎ……、お前──」
「根の国に降りるに私の名が邪魔をするのならば、日嗣の二文字と共にこれを置いていきます。今の私が戴くのは、神依の二文字だけでいい」
「な……ぁ」
「お祖母様──貴女の敷く道はいつも、眩しい程に白く美しいものでありました。人も宝も、私を飾るものは皆美しかった。その道は、踏み出せばきっとこの極上の畳の如く柔く、歩くに易い道であったのでしょう。けれど私は、その道を歩むには余りに潔白ではありませんでした。またそんなつまらぬ男のために、新たに身を焼く女神を増やす必要も無い。……根の国より、帰らぬつもりはありません。しかし高天原には戻りません。私は神依とあの忠臣と共に、いずこかの土の上にて生きていきます。それでよろしいですか」
「──この……大馬鹿者がぁ……ッ!!」
「……」
それだけを言い背を向けた日嗣に、天照は激昂した。
髪を逆立てんばかりに怒気を孕み、一瞬で様変わりしたその女神に誰もが顔を隠し、身を退く。しかし日嗣は恐れず、それを肩越しに認めるともう一度だけ振り向いた。

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