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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第18章 垂る穂
「──しかし、それとお前が根の国に降りることは別じゃ。日嗣ぎの名を冠するお前が、我が父の御代から忌避(きひ)されてきた根の国に降りる程のものではない」
「……」
今度は逆に、はっきりとそれを告げられた日嗣は、嫌悪に顔を歪める。
「ようお聞き。──父が根の国より戻ったのは何も、母の屍を恐れたからばかりではない。あそこは人が見ぬ方がいいもの全てが向かう場所。人々の膿んだ心がわだかまって穢れとなり、腐ってこずんでいく場所じゃ。
お前かて、先程玉衣を取り巻いておった嫉妬と怨みの淀を視たであろう。祓(はろ)うたとしても、あの穢れが向かう先は根の国じゃ。生ある者が降りたとて、命を賭けて要らぬものを見るだけぞ。中にはあの娘の昏き心もあるやもしれぬ。そしてそれは、噂に違わぬおぞましき姿をしておるやもしれぬ。父と母はそうして呪いの詞を交わし合って、憎悪を最後に離別した。
──お前もまたそうして自ら絶望し、傷付く道を選ぶのか。ならば再び廻るまで、今日までの日々を美しゅう胸に抱き、そのありのままのそなたを受け入れてくれる、某かの女神と添うた方がいい。今のお前にならばそれも叶おう? それは紛れもなく、お前が取り立てお前が愛した、あの可憐な巫女の功績じゃ」
「……」
今度は逆に、はっきりとそれを告げられた日嗣は、嫌悪に顔を歪める。
「ようお聞き。──父が根の国より戻ったのは何も、母の屍を恐れたからばかりではない。あそこは人が見ぬ方がいいもの全てが向かう場所。人々の膿んだ心がわだかまって穢れとなり、腐ってこずんでいく場所じゃ。
お前かて、先程玉衣を取り巻いておった嫉妬と怨みの淀を視たであろう。祓(はろ)うたとしても、あの穢れが向かう先は根の国じゃ。生ある者が降りたとて、命を賭けて要らぬものを見るだけぞ。中にはあの娘の昏き心もあるやもしれぬ。そしてそれは、噂に違わぬおぞましき姿をしておるやもしれぬ。父と母はそうして呪いの詞を交わし合って、憎悪を最後に離別した。
──お前もまたそうして自ら絶望し、傷付く道を選ぶのか。ならば再び廻るまで、今日までの日々を美しゅう胸に抱き、そのありのままのそなたを受け入れてくれる、某かの女神と添うた方がいい。今のお前にならばそれも叶おう? それは紛れもなく、お前が取り立てお前が愛した、あの可憐な巫女の功績じゃ」

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