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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第18章 垂る穂
 纏う神気を殊更に鋭く、もう抜くつもりも無かったが腰に提げた剣に手を置き声がした方をねめつければ、ヒッと短く息を呑み身を竦める女達の姿が目に入る。
「──やめいッ!!」
そしてそんな日嗣と神々の、その両方を戒めるように天照の激した一声が広間に響き渡った。
「……」
一瞬の静寂の後、天照は続ける。
「外枠だけの事情ならば月読と伍名から聞いておる。あの娘が何であれ、頑なであったお前の魂をほころばせたのは事実……そこはわらわも、認めよう。御霊祭の件もある。我が弟とも直に目にして、並以上と感ずるものも確かにあった」
「……」
その言葉に、神々は視線を交わして互いの身の振り方を窺い合う。
 それは天照の、神依に対する最大限の譲歩の言葉だった。尚且つ、それでもその巫女を悪く言うならば、御簾向こうの二柱の目が節穴だと言うのにも等しいことを神々に窺わせる。また天照からしてみれば、弟に謀(たばか)られて嫉妬に呑まれ天降り、玉衣と共に、女として立ち直りの利かないくらいその身を嬲ってしまった贖罪の気持ちもある。
「……しかし──」
しかし、だからといって日嗣が根の国に降りることを許す訳にもいかない。その価値があるかさえ、最初から考えてはいなかった。
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