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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第18章 垂る穂
 けれど──けれども。
 あんなにも神依が害される必要があったのだろうか。
 目前の二柱の神の介入……その一端は確かに、必要なものであったかもしれない。たとえ神依と添い遂げたいと、二人御前で頭を垂れても祖母は絶対に許さなかっただろうし、幾らかの不面目を植え付けて、それを逆手に仲を認めてもらうことは出来ただろう。
 そうしてもっと別の形で介入してもらえば、玉衣の身の振り方も変わったかもしれない。例え同じ道を辿ったとしても……神依が死の淵まで追い込まれるような事態にはならなかったかもしれない。
 なのに何故、月読はこうなることを望んだのか──それがどうしても日嗣には分からなかった。考えても、思い付かなかった。
 またいつもの悪い遊びだと看過することはできない。さりとて問えば問うほど面白半分に言葉遊びを繰り出されることは分かっていたし、今は何より、その時間も惜しい気がした。
 ──素戔鳴はああ言ったが、今こうしている間にも神依は息絶え、黄泉の国の住人になってしまうやもしれぬのだ。それを思えば気ばかりが焦って、今にも駆け出したくなってしまう。こんなところで捕まって、いつまでも油を売っているわけにはいかない。
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