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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第18章 垂る穂
その取りつく島もない日嗣の言葉は、神も権威も、ここにある全てを拒み、天照を責めるものでもあった。
そしてそれを察した天照は、内心少しの後ろめたさを感じながらもなお厳しい口調でその振る舞いを制する。たとえ野次馬だろうが無用の長物であろうが、これらを軽んじるのは、いずれ自らに取って代わる者の将来には決して良いものではない。
しかし、それ以上に日嗣は目の前の二柱の神に怒(いか)っていた。
神依の頬に朱印を刻み、女達を煽り、自らが天照を喚ぶ依りとなった月読。そしてそれにまんまと嵌まり、嫉妬という情念に駆られあの柔らかな体を焼いた天照──。
以前月読に迫った時のことを思い出せば、自然と握った拳に力が入る。やはり毛筋程は相手を気にかけ、何かを聞き出しておくべきだったのだ。
確かにあの時は自分も、神依を奪われるのではとそればかりに気が行っていた。そのためにあの印を刻んだのではないか、逢瀬を強いたのではないかとそればかり思っていた。
しかしそれはやはり浅はかで、その裏にあったものを窺うべきだったのだ。
この月の神が“どこまで”視ていたのかは知れないが、それをできず、武器に手を掛けたのはやはり自分の短慮であり落ち度だった。結局また、何もしてやれなかった。
そしてそれを察した天照は、内心少しの後ろめたさを感じながらもなお厳しい口調でその振る舞いを制する。たとえ野次馬だろうが無用の長物であろうが、これらを軽んじるのは、いずれ自らに取って代わる者の将来には決して良いものではない。
しかし、それ以上に日嗣は目の前の二柱の神に怒(いか)っていた。
神依の頬に朱印を刻み、女達を煽り、自らが天照を喚ぶ依りとなった月読。そしてそれにまんまと嵌まり、嫉妬という情念に駆られあの柔らかな体を焼いた天照──。
以前月読に迫った時のことを思い出せば、自然と握った拳に力が入る。やはり毛筋程は相手を気にかけ、何かを聞き出しておくべきだったのだ。
確かにあの時は自分も、神依を奪われるのではとそればかりに気が行っていた。そのためにあの印を刻んだのではないか、逢瀬を強いたのではないかとそればかり思っていた。
しかしそれはやはり浅はかで、その裏にあったものを窺うべきだったのだ。
この月の神が“どこまで”視ていたのかは知れないが、それをできず、武器に手を掛けたのはやはり自分の短慮であり落ち度だった。結局また、何もしてやれなかった。

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