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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第18章 垂る穂
(……お祖母様は更に、その上の神々に俺の在り方を計ろうというのか)
その天上の加護無き神がどうなるかは予想もできないが、日嗣は己が神であるが故にそれを疑うこともできず、抗い難いのも事実だった。
 天照という女神がこの世界の頂にあるのは彼女の神格や神威の高さのみにもあらず、天地開闢のときから成る更なる神々を巫女として祭り、その声を聞き、また妻ともなり子を成せる、その女としての性あればこそのものだった。
 「……」
そしてその宮までやって来た日嗣は開かれた門扉を潜り抜け、更に続く長い長い回廊を進む。手すりの向こうは地があるのか無いのか、霧の大地から庭木や岩壁が生え、そこから滴る滝とせせらぎの、心地好い水の音が空気に溜まっていた。
 その音が何故か神依を思い出させて、日嗣は僅かに目を伏せる。
 出会った頃はよく水に浸かっていた。この世界に生まれ出た時、名を得た時、空の上で舞った時。きっと彼女に取っても特別だった日、瞬間……その全てに自分は立ち会った。
(……それが運命だというならば)
ぐずぐずしてはいられない。
 わずかな灯に浮かぶ色味の薄い庭園を横目に、更に進めばようやく神宮の斎人に迎えられ、日嗣は天照と月読が待つその広間に通された。
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