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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第18章 垂る穂
【4】

 日が落ちた高天原ではあちらこちらで篝火が焚かれ、橙色の柔らかな灯りが桜群れのように盛り上がって藍の宵闇を押し上げていた。
 その灯りの中では国津神達が中心となって指示を出し、下男達が瓦礫の撤去や掃除に奔走する。また以前と同じように、匠達がそこここで紙面を覗き込んでは何かを話し合ったり書き付けたりしていた。
 日嗣は多少の申し訳なさと共にそれを高欄から眺め、足を進める。
 向かう先は神宮と月讀宮の間にある結びの御門(みかど)。普段は閉ざされ、天照、月読の二神が揃って坐(ま)す時のみに開かれる特殊な宮だった。つまりそれが開かれる時は大小有事の時で、自分が根の国に降ることはそれほど大事(おおごと)の範疇に入るらしい。
 「らしい」というのは、日嗣にはまだ、禁忌を犯す実感が無いからだ。
 迎えに来いと言われた。そして自分は、神依に会いたい。それだけだった。
 だから祖母の呼び出しも無視して高天原を去ろうと思っていたが、呼び出された場所が場所なだけに逆らうことはできなかった。
 その宮の、二張の御簾が垂れた広間の奥には更に上天の神々を祭る棚があり、天照が巫女として仕え、采配を乞う時もあるというのだ。
 つまり、それは──
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