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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第18章 垂る穂
けれど私がお前達淡島の巫女の顔と名を全て覚えていることは知っているね。後日改めて、話を聞こう。──そして、天照様」
「……っ、……な、なんじゃ……」
「国津神共を欺きこのようなことをなさった挙げ句、素戔鳴様の御降臨──淡島中を嵐で満たし、加えて龍神の暴走を招いたとあってはお一人では天にも戻り難いでしょう。月読様にも事情をお伺いせねばなりませんし、御出立の前に御令孫にもお会いになりたいでしょう。伍名が共に参りますので、しばしのお時間を」
「……む。……うむ……、分かった……」
伍名の口調はいつもと変わらない。しかし有無を言わさぬもので、天照もそれに大人しく従った。
 そして伍名は女達が去ったのを見届けると、再びその小さな女神に向かい合う。
 「──あの子には私の朱印も刻んでありました」
「……はっ?」
「決して、子が見るに叶わぬ場所。……私は国津神の長として、然るべき時が来たら然るべき立場を与え、然るべき手順を踏んで、あの巫女を神婚の贄として御令孫に捧げ奉る腹積もりでおりました。ですがこの世界であの二人が満たされるには、……それでは足りぬものがあったのでしょう。……けれども」
「……」
「その意味だけは、どうか、お考えいただきたいのです。そして未だ、我々国津神の魂が日和ったものではないことも」
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