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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第18章 垂る穂
その幻を日嗣に重ね、日嗣が決して与えられぬものを求めて脅迫的に愛を迫り、衣をかきむしって肉を求めるようになってしまった。
もう……ずっと昔の記憶だった。それを受け止められない自分は、きっと何かしらを理由に彼女を拒んで逃げた。避けた。けれども“洞主”の眼差しはいつまでもその熱を冷まさない。彼女の想いが断ち切れていないことに、日嗣も気付いていた。
それからどれほど拒んでも無碍に扱っても、洞主の中の幻の自分の姿を消すことはできず、また新たに現れた神依という少女は余りに臆病で、優しくて……裁ち鋏にはなれなかった。
今でも日嗣にはどうすれば良かったのか分からない。ただ今度こそそれは剃刀に断ち切られ雷に焼かれた。そしてそれを大事そうに抱く大兄を見た日嗣は、その“御令孫”という幻想を護り通していたのが洞主ではなく、この男の方であったことだけはようやく理解した。
男はきっと玉衣が幸せであるために、その夢までも護ってやっていたのだろう。それが幻であっても、道を踏み外したものであっても……その玉衣の幸福が男の誇りであり、そのまま男の幸福でもあった。少なくとも……今日までは。
「御令孫」
もう……ずっと昔の記憶だった。それを受け止められない自分は、きっと何かしらを理由に彼女を拒んで逃げた。避けた。けれども“洞主”の眼差しはいつまでもその熱を冷まさない。彼女の想いが断ち切れていないことに、日嗣も気付いていた。
それからどれほど拒んでも無碍に扱っても、洞主の中の幻の自分の姿を消すことはできず、また新たに現れた神依という少女は余りに臆病で、優しくて……裁ち鋏にはなれなかった。
今でも日嗣にはどうすれば良かったのか分からない。ただ今度こそそれは剃刀に断ち切られ雷に焼かれた。そしてそれを大事そうに抱く大兄を見た日嗣は、その“御令孫”という幻想を護り通していたのが洞主ではなく、この男の方であったことだけはようやく理解した。
男はきっと玉衣が幸せであるために、その夢までも護ってやっていたのだろう。それが幻であっても、道を踏み外したものであっても……その玉衣の幸福が男の誇りであり、そのまま男の幸福でもあった。少なくとも……今日までは。
「御令孫」

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