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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第18章 垂る穂
「黄泉路の扉は開いておいてやろう。娘の魂も黄泉の神には渡さず、余が留め置いてやる。高潔で潔癖な、故に高貴たる天孫が、来れるものなら来るがいい──。だがこの娘も肌は爛れ髪は千切られ、もはやうぬが愛した娘ではあるまい。うぬも我が父と同じく、一目散に逃げだそうな──」
「……ッ」
「ス……素戔鳴……貴様、日嗣に……わらわの後を継ぐ日の皇子に、戻りうるかも分からぬ穢らわしい地の底に潜り、這いずってまでその娘を捜せと申すのか──」
素戔鳴がそこまで言うと、天照は途端に血相を変えて弟を睨み付ける。けれども素戔鳴は気にした風もなく、押し黙ってしまった日嗣と天照を交互に見遣り、寂びた深い声音で続けた。
「傲り高ぶり、天にまで昇った神共が。男が女を求め暗い洞穴に潜り、試練を乗り越えた後に結ばれる──それが何を意味するか、分からぬか。──姉上──故に我らは、生まれたのです」
「そんなものは詭弁よ……! 日嗣は絶対に行かさぬ。行かさぬぞ……!!」
「ならばこの娘は再び、永き命の円環に戻るまで。次に廻り逢うまで百年か、千年か──。その間、孤独に膿み怨みに性根を腐らせた大事な孫に斬られぬよう、姉上も、その小さき身をせいぜいご案じなさるといい──」
「……ッ」
「ス……素戔鳴……貴様、日嗣に……わらわの後を継ぐ日の皇子に、戻りうるかも分からぬ穢らわしい地の底に潜り、這いずってまでその娘を捜せと申すのか──」
素戔鳴がそこまで言うと、天照は途端に血相を変えて弟を睨み付ける。けれども素戔鳴は気にした風もなく、押し黙ってしまった日嗣と天照を交互に見遣り、寂びた深い声音で続けた。
「傲り高ぶり、天にまで昇った神共が。男が女を求め暗い洞穴に潜り、試練を乗り越えた後に結ばれる──それが何を意味するか、分からぬか。──姉上──故に我らは、生まれたのです」
「そんなものは詭弁よ……! 日嗣は絶対に行かさぬ。行かさぬぞ……!!」
「ならばこの娘は再び、永き命の円環に戻るまで。次に廻り逢うまで百年か、千年か──。その間、孤独に膿み怨みに性根を腐らせた大事な孫に斬られぬよう、姉上も、その小さき身をせいぜいご案じなさるといい──」

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