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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第18章 垂る穂
「これはまた、随分と久しい顔が参ったな──伍名。うぬが拐(かどわ)かした、余の娘は健在か」
「はっ……ち、義父上っ……ッ」
名指しされた伍名は、思いもよらない人物がこの場に在ることに一度すっとんきょうな声を上げ、しかし更にその腕に抱えられた誰か……巫女装束を着た誰かの姿を認めると、口を抑え続く言葉も無く絶句した。
赤く爛れた肌、使い古した菷のように不揃いな髪。その姿は自分が思い浮かべた少女とは似ても似つかぬ姿だったが、しかし見覚えのある水晶の玉飾りが首から垂れていたし、何よりあの子龍がなつく娘が他に在るはずもない。
そして、
「み……神依……?」
傍らにあった若き男神がようやく絞り出した、茫然自失とした震えた声にその受け入れ難い現実を呑み込むと……一度深く呼吸し、自身の一の妻神の、父たるその暴神に問うた。
「──これは一体何事か……義父上は、その娘をどうするおつもりです。その子は義父上の実の兄たる月読命様が認め、この伍名に取っては我が子も同じ。巫女として熟した暁には、……相応の未来もあったというのに」
「何を言う、余をここに招いたはその兄ぞ」
「は……?」
「はっ……ち、義父上っ……ッ」
名指しされた伍名は、思いもよらない人物がこの場に在ることに一度すっとんきょうな声を上げ、しかし更にその腕に抱えられた誰か……巫女装束を着た誰かの姿を認めると、口を抑え続く言葉も無く絶句した。
赤く爛れた肌、使い古した菷のように不揃いな髪。その姿は自分が思い浮かべた少女とは似ても似つかぬ姿だったが、しかし見覚えのある水晶の玉飾りが首から垂れていたし、何よりあの子龍がなつく娘が他に在るはずもない。
そして、
「み……神依……?」
傍らにあった若き男神がようやく絞り出した、茫然自失とした震えた声にその受け入れ難い現実を呑み込むと……一度深く呼吸し、自身の一の妻神の、父たるその暴神に問うた。
「──これは一体何事か……義父上は、その娘をどうするおつもりです。その子は義父上の実の兄たる月読命様が認め、この伍名に取っては我が子も同じ。巫女として熟した暁には、……相応の未来もあったというのに」
「何を言う、余をここに招いたはその兄ぞ」
「は……?」

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