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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第18章 垂る穂
また目に見えるものばかりではなく、屋敷神を喪ったその小島はわだかまった穢れの臭気が蔓延し、神にとっても居心地の好い場所とは思えなかった。むしろ──悪過ぎるほど悪い。
兎神から聞いていた以上の何かがあったことは間違いなく、傷付いた従者らの姿にその一端を見出だした日嗣達は更に驚愕した。巫女達がそうであったように、痛みに呻きながら必死で顔を押さえる小さな子の姿は、もはや惨劇と呼ぶ以外なんの言葉も浮かばない。左目を押さえる手の下からは未だに血が流れ出ていて、それを見た兎神はじたばたと暴れ、硬直した伍名の手を離れると、慌てて二人の元へ向かった。
「玉衣……」
「……」
そして伍名と日嗣は、そのずっと奥に、大兄に抱きしめられた玉衣を見つける。言葉はもう何も、……出てこなかった。
玉衣が纏う焦げた衣が自分のものであることに気付いた日嗣は苦々しい表情で口を真一文字に結び……また彼女から滲み出すなめくじのような穢れの残滓がうぞうぞと、肌を這う女の指先のように自分に向かってくることに、ただひたすら後悔と自責の念を抱いて固く手を握った。
そしてそんな日嗣達の姿を認めた素戔鳴は、ふとその内の一人に目を留めて、ふんと鼻を鳴らして笑う。
兎神から聞いていた以上の何かがあったことは間違いなく、傷付いた従者らの姿にその一端を見出だした日嗣達は更に驚愕した。巫女達がそうであったように、痛みに呻きながら必死で顔を押さえる小さな子の姿は、もはや惨劇と呼ぶ以外なんの言葉も浮かばない。左目を押さえる手の下からは未だに血が流れ出ていて、それを見た兎神はじたばたと暴れ、硬直した伍名の手を離れると、慌てて二人の元へ向かった。
「玉衣……」
「……」
そして伍名と日嗣は、そのずっと奥に、大兄に抱きしめられた玉衣を見つける。言葉はもう何も、……出てこなかった。
玉衣が纏う焦げた衣が自分のものであることに気付いた日嗣は苦々しい表情で口を真一文字に結び……また彼女から滲み出すなめくじのような穢れの残滓がうぞうぞと、肌を這う女の指先のように自分に向かってくることに、ただひたすら後悔と自責の念を抱いて固く手を握った。
そしてそんな日嗣達の姿を認めた素戔鳴は、ふとその内の一人に目を留めて、ふんと鼻を鳴らして笑う。

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