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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第18章 垂る穂
 その時、庭の向こう──竹林の小路の空間が裂け、それが開き切った瞬間に日嗣と猿彦、そして兎神を抱いた伍名がようやく姿を現し、駆け込んできた。
「神依……!!」
「なっ、何だこの有り様は……」
三人は皆一様に、わずかの間に様変わりした小島の光景に顔をしかめる。
 ──高天原に昇った斎水分神はその後、そのまま日嗣の神気を追って、道程上にある全てのものを破壊して一直線に日嗣の坐す宮に向かった。
 荒ぶる龍神に、御霊祭さながら女達は逃げ惑い、男達も手出しができぬままそれを見送る。まさに竜巻の如くあったそれが唯一、天孫の前で胴を折り頭を下げる姿はやはり格別に人々の目に映り、もう誰も、日嗣を留め置くことはしなかった。
 そして日嗣は騒ぎを聞き付けた国津神達の中から伍名と猿彦を呼び、そこで三人は兎神が知る全ての出来事……天降った天照と洞主の乱心、屋敷神の死、そして友の、娘の、想い人の身に起きたあらゆる災禍の話を聞き、すぐさま淡島へと降った。
 ──しかし目の前の光景は、話以上の惨々たるものだった。台風の後のように植物が荒れ、塵や妖しげな道具が散乱した庭にひしめく者達も、皆強風に衣や髪を煽られとても整った姿をしているとは言えない。
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