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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第18章 垂る穂
 蟲に仕込まれた淫技で蛭のようにあの人に吸い付き、若いだけの体を与えてずるずると取り込んで騙していたに違いない。なんて淫らで、狡猾な女。
(──どうしてそれを、誰も分からないの)
痛くなるほど閉じていたその瞼の闇の中で光の粒が弾け、それを合図に玉衣は畳をかきむしるように上半身をずるずると起こし始める。
 ……と、その時。
 指先が何かに触れて、玉衣はその感触をもよすがに体を持ち上げた。
「……?」
目を開けば自分はその柄をしっかりと握っていて、それを見た玉衣はまさに天啓を得たような心地になった。
 何もかも失ったはずの手に吸い付くように、影となったもう一人の自分が握らせてくれたかのように、玉衣の元にやってきたもの。それは先程、巫女達が漁っていた化粧箱からこぼれ落ちたものだった。
 ……これさえあれば、断ち切れる。あの人があの娘に関わってしまった証を全て、こそぎ落とせる。
 天照も、巫女達も。もう誰も、自分のことなど気にしていない。やるなら今しかない。自分がやるしかない。
 むしろこれは……“神”が与えてくれた、好機にも思えた。
「…………」
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