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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第18章 垂る穂
 今回のことばかりではない。いつも途中までは、本当に上手くいっていたのに。御霊祭の時も、月読の時も、今も。
 私と、あの子と、何が違っていたのだろう。
 「……っ」
玉衣は絶望に、顔中の筋を強張らせて歯ぎしりする。目をつむれば瞼の中で、泥土から這い出す蟲の塊ように闇が広がった。
 そしてその闇の中で、玉衣は確かに暗い女の声を聞いた。自分の声? だからそれは聞いたのではなく自ら考え思ったことかもしれなかったが、どうでもよかった。
 それは玉衣を肯定して、優しく包んでくれる。囁いてくれる。
 (……私は何も違ってなどいない)
ただあの女の方がずる賢かっただけ。なんてあざとい娘だろう。私は悪くない、間違っていない。
 髪にまじないが掛かっていた?
 私の前では無知を盾に幼子のように振る舞って、私を母のように仕立てて髪を撫でさせて。なんて性根の汚い娘。きっと内心はほくそ笑んでいたに違いない。そしてそれとは正反対に、あの人の前では無知を剣に乙女のように純情ぶって。いかにも男心をくすぐる頭の悪い女の振る舞いをして、その髪を撫でさせていたに違いない。
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