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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第18章 垂る穂
事情は後からでも聞ける。それより今はどの神ならば少女を救えるか、混線する頭で必死に考え神棚に向かった。
 神棚に飾られた円鏡は天照の象徴でもあり、また神の目に代わり現を映すもの。人は何かを願うときその鏡に己を映し、その願いに相応しいか己の在り方を問い、足りぬ分に助力をとその向こうに垣間見える神に祈りを捧げる。たまにそれを通し気に入った巫女や覡の暮らしを覗き見る好色な者も在るが、それは確かに神の世と繋がっている。人には叶わぬが、神たる天照にはそれを逆さにも扱うことができた。今は一刻も早く、なにがしかの神に治癒の準備をさせなければならない。
 「あ──天照様──お聞き下さい、私は──」
「邪魔じゃ!!」
家に上がると、袖に追いすがるように玉衣が手を伸ばしてくる。それを天照が一喝して振り払えば、その体格の差を超えて玉衣は床に突っ伏した。
 玉衣が伸ばした指先はそれほどまでに弱々しく、未練がましかった。けれども、転けた彼女に手を差し伸べる者はいない。誰もが、それをすれば罪が深くなるような気がしていた。
 (どうして……)
こんなことになってしまったのだろう。玉衣もまた天照と同じく、真っ白になった頭で考えてはみるのだが、……分からない。
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