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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第18章 垂る穂
 「──早う──早うこの者達の縄を解け……! それから真水と……氷は残っておらぬか!!」
「……」
そんな中、天照は急に手のひらを返したように周囲の禊達に少女の世話を求め叫んでいた。それも未だ動揺から完全に立ち直っていないような物言いだったが、それでも禊達は迅速に動き始める。一方、巫女達は皆呆然としてその光景を見ていた。
 神依の最も近くにあって、それを暴いてしまった当事者として事態を理解した大兄も、しばらくは土を眺めていたが、自分がここに居れば邪魔になると気付くと立ち上がって島の淵まで下がる。
 事は破れたのだ。
 もう“禊”達も大兄を窺わない。女神から許された良心に従い、そうでなければ少しでも自らの主らの罪が軽くなるよう率先して、虜囚達の縄を解き治療のための道具や薬を集め始める。
 そしてそれを、玉衣は呆然と部屋の中から眺めていた。突然、何が起きたのか──神は責め手を止め、禊達までもが自分ではなく、あの忌々しい娘のために動いている。
(大兄……)
頼りの男も他人事のようにそれを眺めるだけ。
 ──どうして。どうして? どうして!
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