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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第18章 垂る穂
 みんな、誰かを大事にできる、優しい人達だった。
 「──…!」
兎神はぶんぶんと頭を振って浮かんできた涙を払うと、小路を家とは逆の方へ駆けた。
 (……伍名様! 伍名様!!)
──何とかしないといけないと思った。そして、たくさん考えた。
 優しい伍名様なら、きっと助けてくれる。大昔のお祖父ちゃんを助けたみたいに助けてくれる。弱虫の自分ではみんなを助けることはできないけど、助けを呼ぶことならできるはずだ。
 島の淵まで来ると、その先には……雲海の水が跳ねて黒く濡れそぼつ、長い長い跳び石の橋が続いていた。
 「……」
跳び石は黒と灰色と白の点々を固めた色をしている。“わに”の肌も、こんな色をしていると仲間の誰かが言っていなかったか。だから毎日、ここを渡る三人が食われやしないかと気が気ではなかった。
(だけど──)
だけど今は。早くしないと。
 今度は三人が焼かれてしまう。
 鼠軼様のようになってしまう。
 そしたら、またひとりぼっちになってしまう。
「……」
大丈夫、大丈夫と兎神は一生懸命自分に言い聞かせる。
 もし毛を剥がされても──きっと伍名様が治してくれる。落ちても猿彦様が助けてくれる。
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