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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第18章 垂る穂
 きっと大事にしてくれるという。
 きっと甘い人参を毎日くれるという。
 きっと……跳び石を渡れるようになるという。
 でもまた苛められたらどうしよう。弱虫だと嫌われたらどうしよう。
 けれど断ることもできず、不安なまま頷いてしまった。

 ──でも伍名様はそれもお見通しだったようで、そのお家まで一緒についてきてくれた。
 その家には他にも何柱かの神様が居て、最初に伍名様と、一番偉い鼠軼様とで話をした。
 鼠軼様は、きっと大丈夫だと言った。家のみんなは仲良しで、互いに互いを思いやって毎日を過ごしている。どんな神であろうと敬ってくれる。怖ければ、最初は見ているだけでもいい。だけど多分、……神依は自分から手を差し出すだろう、と。
 しわしわの声で、小さいけど温かい眼差しで。
 でも、鼠軼様は──。
「……」
 怖かった。何もできなかった。新しい祠に閉じこもったまま怖い音だけをたくさん聞いて、兎神は脅えていた。
 そこに、聞き慣れた優しい音が近付いてくる。自分とは違い、本当に楽しそうにトン、タン、トンと跳び石を渡る音。
 ──近付けては駄目だと思った。
 怖くて怖くて仕方なかったけれど、今、その子を止められるのは自分しかいない。
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