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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第17章 父が歩んだ道
 そして童と揉めだした幼き神を尻目に、最終的にはそうなるだろうと──男達と同じことを想像していた大兄が、神依の前に膝をつく。
 今更、何をするのも同じだ。犯せというなら犯してやる。代わりに、自分と同じくらい壊れてもらう。玉衣と同じくらい、痛い思いをしてもらう。命果てる間際まで女として生まれたこと、淡島の巫女として流れ着いたことを悔いて、傷だらけのまま死んでもらいたかった。
 「駄目だ! やめろ!!」
「いいから早う、やれ!!」
幼い声が重なる。喧しい。
 しかしそれを合図に大兄は動かぬ神依の衣を鷲掴むと、縄から引き抜くように勢いよく──繊維を左右に引き千切った。

***

 「あああっ……!!」
「──…ッ!?」
その瞬間、大兄は苦痛を訴える掠れた悲鳴に真っ正面から包まれ……その中で、あるはずのない「それ」を認めて、絶句した。そして、それを自らの手で暴いてしまったことに絶望した。
 大兄の目に飛び込んできたのは、鮮やかな赤──水疱や血を滲ませる肌よりも、赤い印。
 そしてそれは確かに、刻んだ男神の想いのまま、少女の身を護ってくれた。
「──あったか……!! やはりあった!!」
天照も、巾着を握った手を振り上げて童を振りほどくと、それを叫ぶ。
 その時勢い余って天照の手を離れ、地に投げ出された巾着から、この夏の濃い日差しを受け眩しい程に煌めく笄(かんざし)がこぼれ落ちた。
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