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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第17章 父が歩んだ道
 その限られた者しか持つことを許されない金に、見覚えのある細工に、傍観者の誰もが「何があったのか」を正しく理解する。
 きっと、もう、あの巫女はもう既に──。
 でなければ笄がここにあるはずがない。
 男神のかんざし。巫女の家に置き去りにされたかんざし。巫女の部屋で、男神が髪を解くその意味など──淡島では、もうたった一つしかなかった。
 巾着を見付けた巫女は、ああ、やっぱりと嘆息してその場にへたりこむ。同じく、自分達がもう全く意味のないこと……償い切れない過ちを犯していたことに気付いた巫女達もまた、手にしていた色々なものを音を立てて落とし、その場に崩れ落ちた。
 「──神依──お前はもう既に、あれと契っておったのか? あれはそれほどまでに、お前に心を開いたのか? では何故、月読はお前に印を重ねたのじゃ。わからぬ──」
「……」
そして、そんな女達の心を集約するかのように……それを事実として、女神が声で世に顕す。
「──それは、日嗣の朱印であろう」
 神依は、もう何も答えられない。心の中で何か思った気もしたが、分からない。
 代わりにどこか遠くの方で小さく、
「……、……今……なんて?」
誰かが呆然と、とても悲しそうな声で呟いたのが聞こえた。

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