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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第17章 父が歩んだ道
崩れた座布団が酒瓶や皿を落とし、一際派手な音を立てる。その音に、皆の視線が一瞬で彼女に集まった。
それで玉衣も、きっと今の言葉に何か付加してくれるのだろうと女神を見上げたが──女神は自分には目もくれず、あろうことか庭先に裸足で駆け出し娘の元へ向かっていった。
そしてもう、汗でべったりと皮膚に張り付く髪を撫で、一度大きく息を呑む。
──間違いない。
天照はそれを確信する。
すぐにでも衣を剥いで確かめたかったが、肌は赤く爛れ衣に浮かび上がり、怖くて触れられなかった。もうここまでしてしまったのに、それが更なる罪になることを恐れてしまった。
「だ、誰ぞ──誰ぞ、これの衣を剥げ」
「……」
「疾(と)く動け! わらわの命が聞けぬのか!」
「やめろ! 何なんだよお前──」
震えた声で男達に命じるが、男達にはそれが更なる責め苦になる気がして誰一人として動けなかった。その場にいた男達誰もの脳裏に浮かんだのは、ある一つの暴虐。それをしてしまったら恐らく、命が助かったとしても、今度は更なる心の傷を少女に植え付けることになる。男にしか付けられぬ傷。
そんなことをしたくない。彼女のためにも、あの恋文を綴った男神のためにも……何より自らの主のためにも、絶対にしたくなかった。
それで玉衣も、きっと今の言葉に何か付加してくれるのだろうと女神を見上げたが──女神は自分には目もくれず、あろうことか庭先に裸足で駆け出し娘の元へ向かっていった。
そしてもう、汗でべったりと皮膚に張り付く髪を撫で、一度大きく息を呑む。
──間違いない。
天照はそれを確信する。
すぐにでも衣を剥いで確かめたかったが、肌は赤く爛れ衣に浮かび上がり、怖くて触れられなかった。もうここまでしてしまったのに、それが更なる罪になることを恐れてしまった。
「だ、誰ぞ──誰ぞ、これの衣を剥げ」
「……」
「疾(と)く動け! わらわの命が聞けぬのか!」
「やめろ! 何なんだよお前──」
震えた声で男達に命じるが、男達にはそれが更なる責め苦になる気がして誰一人として動けなかった。その場にいた男達誰もの脳裏に浮かんだのは、ある一つの暴虐。それをしてしまったら恐らく、命が助かったとしても、今度は更なる心の傷を少女に植え付けることになる。男にしか付けられぬ傷。
そんなことをしたくない。彼女のためにも、あの恋文を綴った男神のためにも……何より自らの主のためにも、絶対にしたくなかった。

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