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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第17章 父が歩んだ道
洞主の言葉に、彼女の纏う衣の色に、ある一柱の男神を思い浮かべた童は、目を見開いて硬直する。
 このところ、童の中でも何かおかしい奴らがいた。急に口を利かなくなったり、何か告げたそうにしているのに問えば逃げ出したり。
 それはこういうことだったのだ。主の想いを知り、主が企てる凶行を知り、それでも何も言えなかった。止めなかった。
 だから。だから自らの主は今日こうまで痛めつけられて、それを護ろうとした兄まで傷付けられている。
 そしてもはや言葉通り、幼ささえ感じられるような口調で、その女は宣言する。
「あの方には私が一番相応しいの」
「……」
「変わったのよ、私も。──我儘な愛から忍ぶ愛へ。清楚で健気でしょう?
求める愛から、与える愛へ。どんな子でも慈しめる私は優しいでしょう? 偉いでしょう?
遊女から洞主へ。あの方に相応しいでしょう? 他の子とは違うでしょう?」
「…………」
それに答えられる者など、いない。童は、……童だけではない。そこに在った全ての男達は、それに答えようとしない。答えたくもなかった。
 「──…」
「天照様?」
その時、がたりと音を立てて女神が立ち上がった。
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