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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第17章 父が歩んだ道
「──どけ」
「大兄様──」
童が応えるより早く、大兄の手によって数回池の水が浴びせられる。
それでようやく、再び水を吸った革紐が伸び神依に束の間の平穏をもたらした。本来はこうして濡らすのと乾かすのを交互に行い、長い時間を掛けて相手を痛めつけるものだった。
しかし、それより以前からこの惨劇の中に在った神依には──もうこの一度だけで、充分だった。命の大半を奪い取るに、もう何をする必要もなかった。
もう体も動かない。体中が熱くて熱くて、痛みもあるはずなのにそれ以上に頭が朦朧として、このまま眠ってしまいたい。吊られていなかったら間違いなく、その身を土に横たえていただろう。
薄く目は開いていたが、もう何も見えていないようにがくりと項垂れた主に、童はそれを支えながら、この舞台で明らかに上座にあった女達を睨み付ける。
その中にはよく見知った顔もあって、童は一瞬でも大兄を味方だと思ってしまったことを後悔した。
「なんで──何でだよ……。何で、洞主様がこんなこと」
「口の利き方に気をつけよ。……残念じゃが、それを語ったところでお前のような子供には分かるまい。お前の主でさえ、それが理解できぬから──今の今まで、愚かな選択しかできなんだ」
「大兄様──」
童が応えるより早く、大兄の手によって数回池の水が浴びせられる。
それでようやく、再び水を吸った革紐が伸び神依に束の間の平穏をもたらした。本来はこうして濡らすのと乾かすのを交互に行い、長い時間を掛けて相手を痛めつけるものだった。
しかし、それより以前からこの惨劇の中に在った神依には──もうこの一度だけで、充分だった。命の大半を奪い取るに、もう何をする必要もなかった。
もう体も動かない。体中が熱くて熱くて、痛みもあるはずなのにそれ以上に頭が朦朧として、このまま眠ってしまいたい。吊られていなかったら間違いなく、その身を土に横たえていただろう。
薄く目は開いていたが、もう何も見えていないようにがくりと項垂れた主に、童はそれを支えながら、この舞台で明らかに上座にあった女達を睨み付ける。
その中にはよく見知った顔もあって、童は一瞬でも大兄を味方だと思ってしまったことを後悔した。
「なんで──何でだよ……。何で、洞主様がこんなこと」
「口の利き方に気をつけよ。……残念じゃが、それを語ったところでお前のような子供には分かるまい。お前の主でさえ、それが理解できぬから──今の今まで、愚かな選択しかできなんだ」

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