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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第17章 父が歩んだ道
 その両方が理解できているはずなのに視界に映る光景が何なのか分からず、でも大好きな主が害されていることだけは分かって、逃げることをためらった。
 助けなくていいのか。自分がそんな力を持たないことすら思い至らず、ただ背を向けることへの罪悪感だけが胸に渦巻く。
 「──何をしている! 早く縛り上げろ!!」
「やめてぇえッ!! その子は関係ない!! やめ──」
大兄の指示に、池の方にいた何人かが動いた。迷った子供を捕らえることなど“禊”達には造作も無いことだったが──先程まではらはらと涙を流しもう死んだように項垂れていた悲痛な巫女の叫びは凄まじく、
「──ふくっ、ぐ、ぅうっ」
「み……神依様……?」
またその言葉を半ばに突如発症した異変に、それ以上動くことなどできなかった。
 縄で戒められた巫女の体は今まで以上に激しく身悶え、半身を吊っている縄と庭木が擦れる音がぎちぎちと聞こえる。
 それは、本来なら女達全員が待ち望んでいた光景だった。
 水を吸い膨張していた革紐が、日に晒されることによって乾いて収縮し、神依の首を絞めているのだ。
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