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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第17章 父が歩んだ道
 日記でもあればそれを大袈裟に、声にも出して読んで辱しめてやろうと思っていたのに──それが自分達が考えるより遥かに“面白い”ものであることに気付いた女達は、狂喜した。
 まず顔を見合わせて、この上なく醜く歪んだ笑みを浮かべて。
 「ねえみんな、ちょっと聞いて──『神依へ』ー!!」
「……!?」
その、いつも、ほとんどの場合名前から始まっていた覚えのある文言に、神依は目を見開き勢いよく顔を上げる。
 女神達の後ろ、見慣れた自分の部屋では一人の巫女が紙の束を高らかに掲げ、内の一枚を芝居染みた口調で読み上げている。
 そして次の瞬間、まるで宝物を見付けたことを自慢するようにも力強く、そこに在る全ての女達の頭上にそれを、撒き散らした。

***

 (うそ──)
その薄い紙が宙に舞った瞬間、神依の頭は真っ白になった。
 それが何であるか、殊更に見せつけるように神依の前に空っぽになった文箱が転がってくる。
 まるで目の前の女神が結わえているような、可愛らしい織物紐を象った木の箱。日嗣から贈られた、大事な文箱。大事な──。
 「嫌……うそ、やめて……、やめてぇ──!!」
それを暴かれてしまうことの恐怖と羞恥は、もはや痛みを凌駕してなお耐え難いものだった。
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