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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第17章 父が歩んだ道
 神依を眺めているだけの時間に飽きた巫女達もばらばらと散り始め、遊具を持ち出してはさいころを振って駒を競ったり、神依の衣や装飾品、化粧箱を漁ってはその検分をし始めた。
 それだけではなく家中を漁り、普段は秘され、神依でさえまだ目にしたことが無いような美しい着物や和装品を景品に、どんどんその遊興の輪が広がっていく。
 「──ねえ見て、綺麗な瑠璃玉。こっちは紫の玉(ぎょく)。禊の質が良いとこんなものまで手に入るの?」
「もったいない、まだ全然使われてないみたいだけど──」
「ねえ、こっちに回して! 一番札を多く取った人が──」
そうして、綺麗な石や布に必死で手を伸ばし合う女達は、まだ無邪気で可愛い方だった。
 数人の心ない……或いはより憎しみを深めていた女達は、もっともっと庭先の淫女を嬲るのだと別のものを探し始める。それこそ玉だの衣だの、そんな物的なものを奪うのは大した傷にもならない──代わりが手に入れば癒えてしまう浅い傷だということを彼女達は知っていた。
 そして彼女達は、より深くまで傷をえぐれる“それ”をいとも容易く発見した。
 小さな文机の下、小さな櫃(ひつ)との間に隠されるように置かれていた……愛らしい飾りがなされた、一つの文箱。
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