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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第17章 父が歩んだ道
 神依が絶叫するのと同時に、その恐怖や羞恥を理解している巫女達が爆笑する。虜囚の巫女が発する初めての懇願、初めての屈伏の声は至上の優越感と、最高の快楽をもたらした。
 文は次々に巫女達の奪い合いになり、その文体に慣れた者達によって、小馬鹿にするように読み上げられていく。
 離ればなれになった二人が、かろうじて繋げていた細やかな縁。その内容から、差出人だってもう誰か判るだろうに──彼女達はもう何を憚ることなく、日の下で読むにはあまりに優し過ぎる、あまりに甘過ぎる言葉を笑い、価値の無いものに貶めていく。
 その嘲笑が男を責めることはない。ただ男にそんな言葉を吐かせる手練手管がどんなものか、女達は下品な仕草や言葉で示し、神依を責める。
 天照はその筆致を確認すると眉間にしわを寄せ、一度忌々しげに舌打ちをすると小さな手のひらで紙を握り潰し、そのままくるくると丸めて捨てた。
 しかし、神依にはいっそその方が幸せだったかもしれない。
(お願い……やめて……)
会えない時間──日嗣がその時間のうちどれほどを割いてあの甘やかな言葉を綴ってくれたか、猿彦が持ち出した書き損じの紙の束を見た神依には分かっている。
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