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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第17章 父が歩んだ道
 解放と引き換えに犠牲にするのは、自分のつまらない意地でも誇りでもない。本当に犠牲になるものは……今日まで大事に抱いてきた、たった一人の男への淡い恋。
 これに屈することは、その男への想いを自らの意思で断ち、自らの手で「好きにして下さい」と彼女達に差し出すということだった。
 (日嗣様……)
今までずっとずっと……多分流れ着いたあの日から、二人で育んできた心の中深くのもの。
 最初はお互いに、ちょっと離れたところで。
 それをたくさんの人が見守り、からかい、時には手を引いて近付けてくれた。自ら離れることで、二人だけにしてくれた人もいた。
 近付いた二人はまだ、どこか互いに臆病で……すぐに結ばれることはなかったけれど。
 大事にしようと思ったのに。
 自分達を導いてくれたみんなの優しさも、想いも、二人で大事にしようと誓ったのに。
 この肉体の痛みから解放されるには、それを自らの言葉で辱しめ、貶め、ぐちゃぐちゃに蹂躙しなければならない。それを嘲られて、女達の気が済むまで虐め抜かれて。
 そのようやく芽吹いた小さな種は二度と芽すら出さないようにいたぶられて、それでようやく自分は解放される。多分、赦される。
 “でも”──。
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