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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第17章 父が歩んだ道
 日焼けにも程度がある。夏に肌が黒くなる程度なら思い出話を語る種くらいのものだが、神依の澄んだ白い肌は黒くはならず、煮えた湯をちょろちょろとかけられたかのように赤みを帯び、火傷の痛みを発し始めていた。
 それは火の周りに集まり、羽を焼かれて死ぬ蝶にも似ていた。業火にまかれて死ぬのとも少し違う。小さな、けれども高温の蝋の火で少しずつ焼かれていく。
 加えて度々繰り返される水気と熱気の攻めに衣の繊維も傷み肌に張り付き、もしもこのまま衣を脱いだら皮膚まで剥がしてしまう気さえした。
 (もう……いっそ……)
そしてついに、神依はぽつりとそれを思ってしまった。
 束の間、多少なりとも苦痛から解放された頭は少しずつ少しずつ色々な思考を練り合わせていく。
 ……洞主の言う通り、確かに自分には足りない部分があったように思う。自分だって、今日までそれを何度も何度も自覚して、悔やんできた。
 だからそれをさっさと謝って慈悲を乞い、今にも無くなりそうなあの氷を肌に塗りつけて貰いたい。冷たい水を喉に流し、きっと美味いに違いない果実を貪りたい。
 でも──だけど。
 だけど、少なくとも自分には、これに屈することがどういうことかは分かっている。
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