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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第17章 父が歩んだ道
 ああいう時の玉衣の眼差しはとても粘っこく、とてもつやめかしく、とても甘い。大兄はいつも心の中で、自身を求める玉衣の声を聞いていた。
 お前しか居らぬ、私が頼れるのはお前だけなのだから──と。
 だから大兄は玉衣に従う。従い、それをやり遂げた時、今度は全身を真綿で絞められて愛撫されているような心地好さを覚えるのだ。抱擁が苦ではないように、適度な圧迫は身に快感をもたらすことがある。大兄の心に棲みつく玉衣はそれを理解して、その柔らかな肌を惜し気もなく晒し、また紅の指は大兄の衣をかき分けて、くにゃりと四肢を絡めつかせる。
 大弟もそうに違いないと思っていたのに、と妬ましく思えば、一片の理性が戻り獣欲をかき消す。大兄は水を吸った革紐を引き揚げると、再び神依の元に戻りその傍らに膝をついた。
「……」
少女はもう、名を呼んではくれない。ただ脅えたような窺うような視線が向けられ、それを合図に大兄は汗に濡れる髪を巻き込みながら革紐も首に回す。
「ひっ……、くっ」
 神依は一瞬絞め殺されるかと思い、恐怖に身をすくませる。しかし自分が思っていた以上にきつく絞られることはなく、まるで首飾りでもされただけかのように結ばれ、終わった。
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