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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第17章 父が歩んだ道
けれども引きつった筋はまだ上手く動いてくれない。口を半開きにしていた方がまだ楽で、はあはあと息を荒げながら時折溢れそうな唾液を呑み込む。それすら喉を労ってもいいという洞主の慈悲に思えてしまうのだが、その心が既に隷従のものになりつつあるとは考えない。神依には考える術も疑う心も無かった。
「……馬鹿な娘」
それと同じくして、最後の蜜柑を飲み込んだ天照が皮肉げな笑みと共にぽつりと呟く。ちらりと視線をずらせば、先程から庭の片隅で、水を張った桶に一本の革紐が浸けられていた。
それが何のためか、天照には分かっている。成程、娘を貶め日の光で炙るならこれほど理に適ったものは無い。それにしても、どこかに理性を残した人の残忍さほど恐ろしいものはないとも思う。
「玉衣」
「はい」
天照がちょいと扇子でそれを示すと、玉衣は深く深く頷き大兄に目を向ける。
大兄は何も言わずそれを受けると、桶の方へ向かい水の中に手を入れた。水はまるで、革から油でも染み出したのかと思う程にねとりと自身の手に絡み付いてくる。それは生温さから来る錯覚だと解ってはいたが、先程の女の眼差しに似ていて離れ難かった。
「……馬鹿な娘」
それと同じくして、最後の蜜柑を飲み込んだ天照が皮肉げな笑みと共にぽつりと呟く。ちらりと視線をずらせば、先程から庭の片隅で、水を張った桶に一本の革紐が浸けられていた。
それが何のためか、天照には分かっている。成程、娘を貶め日の光で炙るならこれほど理に適ったものは無い。それにしても、どこかに理性を残した人の残忍さほど恐ろしいものはないとも思う。
「玉衣」
「はい」
天照がちょいと扇子でそれを示すと、玉衣は深く深く頷き大兄に目を向ける。
大兄は何も言わずそれを受けると、桶の方へ向かい水の中に手を入れた。水はまるで、革から油でも染み出したのかと思う程にねとりと自身の手に絡み付いてくる。それは生温さから来る錯覚だと解ってはいたが、先程の女の眼差しに似ていて離れ難かった。

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