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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第17章 父が歩んだ道
口内にたっぷりの果汁を味わいその甘さを誇る神に、神依はそれをねだりたい気持ちを抑え必死に羞恥と熱に耐えた。
 女達から浴びせられる罵声や中傷を、その度に褥の中で読んだ甘い言葉に置き換えて。きっと、いつか助けに来てくれると信じて耐えた。
 或いはそれは、男の衣を纏い、天照の傍らに控える玉衣への確かな裏切りであったかもしれない。
(でも……洞主様。……私は……)
今でも、まだ、嫌いにはなれなかった。嫌いになって欲しくはなかった。
 頭の中で反芻される女の優しい言葉と男の甘い言葉が、決して共存できないことはもう神依には分かっている。けれども本当にそうなのか、まだどこかで、何かにすがろうとしている自分がいる。
 (……やっぱり、私がいけないの?)
私が馬鹿だから。私が欲張りだから。
 朦朧とする頭に、また水が浴びせられる。
「──あの蛭はまだ捕まらぬのか」
「申し訳ありません……何せ、水の中では」
「水の中とはいえ狭い庭池であろう。早う捕らえて、御前に連れて参れ」
「……?」
それで一時我に返ると鮮明に洞主の声が頭の中で響き、言葉のまま池の方を見れば、何人かの男達が水に網や棒を挿し入れ何かを追っているのに気付いた。
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