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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第17章 父が歩んだ道
 「──意固地な娘よなぁ」
一方、夏の日射しと冬の空気が混ざり眠気すら催すほどに過ごし易くなった室内で、天照は玉衣に蜜柑の皮をむかせながら欠伸をして呟いた。
「意地でも無いよりあった方がよろしいもの。何せあの娘には、何ゆえ自分がこのような目に遭(お)うているのか、未だ理解する頭すら無いように見受けられますゆえ」
「そのあるか無いか分からぬ意地さえわらわが作ってやったのだから、感謝こそされるべきものよ。あれだけ勇んだ振る舞いをしたのだ。舌の根も乾かぬ内から許しを乞うてぴぃぴぃ泣くより、何も言えず不細工な顔を晒す方が、戦女の如き矜持にはきっとマシであろうからな」
「ふふ──それに加えてあの口枷は、その舌の根を手っ取り早く乾かしてやろうという天照様の御慈悲でもあらっしゃるものかと」
「ふむ。モノは言い様じゃ」
薄皮につく白く固い繊維を取り終えた玉衣は、その柔らかな実を神に差し上げる。天照は待ちわびたとばかりにしゅわりと音を立てて割り、大きな粒を口に入れた。
「可哀想に、蛭の巫女。お前のその、薄気味悪い爬虫類のごとき啜り口では、この身を食むこともできまい」
「……」
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