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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第17章 父が歩んだ道
***
「──っはあ──はぁっ……はぁ……」
……暑い。
少し前から、神依が感じるのはただそれだけだった。
何が起きているのか分からない。ただ頭と背が焼けつくように熱く、油すら干上がらせんばかりに流れる汗が、目に沁みて痛い。もう目尻からこぼれるものが、汗なのか涙なのかも判らなかった。そして徐々にその肌を伝う雫も量を増し、自分の周りだけに燻る熱気に息はどんどん上がり、体中の水分を奪っていった。
喉も渇く。舌も突っ張って痛い。しかし大兄に着けられた、金属と革が組み合わさってできた名すら知らない道具のせいで口を閉ざすこともできない。
それは神依の唇に大きく「あ」の字を作らせたまま、左右から引かれて頭の後ろで固定されてしまった。口内を晒す役目を持った道具だというのは判ったが、それが何故我が家にあったのかは考えても分からない。
ただ、だらだらとだらしなく糸を引いて垂れていく唾液が恋しくなったのはいつからだろう。
少しでもいい、痛みを帯びる程に渇いた舌と喉を潤したくて舌を動かしてみるのだが、舌先がそれをすくうことは無く、耳の下でみちみちと顎の骨が擦れる嫌な音がするだけだった。
「──っはあ──はぁっ……はぁ……」
……暑い。
少し前から、神依が感じるのはただそれだけだった。
何が起きているのか分からない。ただ頭と背が焼けつくように熱く、油すら干上がらせんばかりに流れる汗が、目に沁みて痛い。もう目尻からこぼれるものが、汗なのか涙なのかも判らなかった。そして徐々にその肌を伝う雫も量を増し、自分の周りだけに燻る熱気に息はどんどん上がり、体中の水分を奪っていった。
喉も渇く。舌も突っ張って痛い。しかし大兄に着けられた、金属と革が組み合わさってできた名すら知らない道具のせいで口を閉ざすこともできない。
それは神依の唇に大きく「あ」の字を作らせたまま、左右から引かれて頭の後ろで固定されてしまった。口内を晒す役目を持った道具だというのは判ったが、それが何故我が家にあったのかは考えても分からない。
ただ、だらだらとだらしなく糸を引いて垂れていく唾液が恋しくなったのはいつからだろう。
少しでもいい、痛みを帯びる程に渇いた舌と喉を潤したくて舌を動かしてみるのだが、舌先がそれをすくうことは無く、耳の下でみちみちと顎の骨が擦れる嫌な音がするだけだった。

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