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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第17章 父が歩んだ道
「ほざきおる──そなたの浅慮短慮の物言いで、我が血族の者すら価値なきものに見下げられるのだぞ。分からぬか?」
「……分かりません……。日嗣様は、そんなふうにご自身や私を見下げることはありませんでした。……優しい人だったのです。それに……月読様は、貴女に……」
「──止めよ。塵にまみれ無様に地べたを這うお前が、気安くその天の名を口にするでない」
「……っ」
途端に鋭くなったその声音と眼差しに、神依は気圧(けお)されて一瞬で押し黙った。
 憮然として唇を尖らす姿は本当に愛らしく子供染みたものなのに、凄まじい違和感を伴う人ならざるものの気配。それに呼応するように、風と光と、世界まで静かに不穏な音と影を作る。一度大きく、心臓が波打った。
 ──しかしその直後、天照はふとその表情を変えて一人合点したようにふむ、と頷く。
 その時の表情は姿さながら無垢で無邪気な笑顔で、逆にそれが更なる戦慄を神依にもたらした。頭の中に、冷たい風が通った気がした。
 「あ……天照様……」
「──神依とやら。良きことをわらわが思い付いてやったぞ。ならば今度こそ、そなたの勇ましき言葉と見えぬ心をその身で証してみるがいい」
「……?」
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