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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第17章 父が歩んだ道
 「……成程、物言いだけ聞けばいかにも弟が好きそうな、戦女(いくさめ)の如き益荒(ますら)乙女よ」
「……、」
不意に、その煩わしいざわめきを破る別の女の声。幼い女の声。
 この場で、細やかでも自分を認める文言を発してくれる唯一の女の声が、この場を作りこの場にある全ての女達を統べる女神のものであったことに、神依は切ない皮肉を感じた。
 神依が視線だけ持ち上げて応えれば、二人の巫女を前に一度は口を閉ざしたはずの天照が再びその威を取り戻していた。
 女神はつんと斜を向いて神依を見下し、不機嫌そうに眉を上向きに変えてはいたが、また自分の視線に促されるように先を続ける。
「しかし幼い。愚かでもある。……誰もが同じ空、同じ花を見て美しいと思う訳ではない。その世界の差異に気付けず、受け入れることもできぬ。尚且つ人の身でありながら見えぬものを視んとして、身の程をわきまえず口先に誇るからこうしてつまらぬものに見下げられ、成り下がるのだ」
「……見えないものを視て、信じるそれを……人は、信仰や愛情と呼ぶのではないのですか……。でなければ……あまりに寂し過ぎるではありませんか」
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