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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第17章 父が歩んだ道
 その反面、それを努力しなかった、女として足りない自分を責める自分もいる。共同体の一員として尽くしてこなかった自分を責める自分もいる。
 それができていたなら、こんなふうに嘲りの言葉を浴びせられることは無かったのだろうか。美しい言葉を、その音のまま誇ることができたのだろうか。
 いや、しかしそれをした自分はその言葉を発せただろうか……。
 ──考えたくない。考えたら、何かを喪ってしまう気がした。崩れていってしまう気がした。
 そうして今にも泣き出しそうな顔で黙りこくってしまった神依に、周りの巫女達はようやく洞主の言葉が嘲りのものであったことに気付き、取り残しを貪るように悪意ある囁きを交わし始める。
 それがどれだけみすぼらしいことか、声を上げて訴えたかった。それが許されるほどのものを男達に与えてもらっていたはずなのに、それを信じたのに、けれど神依は何故か、もう唇を開くことすらできなくなっていた。
 また笑われるかもしれない。また罵られ、貶められてしまうかもしれない。そうしてぽろぽろと崩されていく信念の先には、何が残るのだろう。
 この処刑場のような空間のなか独りで何かを貫くには、神依はまだ余りにか弱く、幼過ぎた。
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