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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第17章 父が歩んだ道
玉衣だった。
「洞主様……」
神依はまっすぐ玉衣と向き合い、目でそれを問う。
玉衣は本当ににこやかに、若穂色の袖で口元を隠し声を上げて笑っていた。そして神依と視線が合うと、今度はそれを抑えるように酒を口に含み呑み込んだ。
「──ああ可笑しい。何でもないことをそのように、さも偉そうに、自分ばかり特別なように語って」
「え……?」
「お前のその恋心も克己心も、全てが既に私が持っているもの。お前が選んだその道も、既に私が歩んできた道そのものよ。お前が唯一誇るものさえ私が既に手に入れていたものだというのに──お前はほんに、何ゆえそれが分からぬのか。お前如きがどれほど意地を張ったところで、結局はお前など私の紛い物に過ぎぬのよ。私はお前の何十倍、何百倍もあの方のためを思い、あの方のために自らを磨き上げてきたというのに──それも知らず、そんな目に見えぬものしか誇れぬとは。いや、見事よな。立派な巫女の物言いであったぞ神依。お前のその──そう、おそらく心とやらは、さぞや美しい玉でできているのであろうな? でなければあの瑠璃杯のように透き通ったものかもしれぬ──と、口では何とでも言えような──見えぬゆえ」
「そ……んな……。私は……」
「洞主様……」
神依はまっすぐ玉衣と向き合い、目でそれを問う。
玉衣は本当ににこやかに、若穂色の袖で口元を隠し声を上げて笑っていた。そして神依と視線が合うと、今度はそれを抑えるように酒を口に含み呑み込んだ。
「──ああ可笑しい。何でもないことをそのように、さも偉そうに、自分ばかり特別なように語って」
「え……?」
「お前のその恋心も克己心も、全てが既に私が持っているもの。お前が選んだその道も、既に私が歩んできた道そのものよ。お前が唯一誇るものさえ私が既に手に入れていたものだというのに──お前はほんに、何ゆえそれが分からぬのか。お前如きがどれほど意地を張ったところで、結局はお前など私の紛い物に過ぎぬのよ。私はお前の何十倍、何百倍もあの方のためを思い、あの方のために自らを磨き上げてきたというのに──それも知らず、そんな目に見えぬものしか誇れぬとは。いや、見事よな。立派な巫女の物言いであったぞ神依。お前のその──そう、おそらく心とやらは、さぞや美しい玉でできているのであろうな? でなければあの瑠璃杯のように透き通ったものかもしれぬ──と、口では何とでも言えような──見えぬゆえ」
「そ……んな……。私は……」

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