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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第17章 父が歩んだ道
 神依は恐怖に克(か)ち、息を吐く暇もなくそれを言い切った。
 お互いに好きだと告げたことはない。けれどもそれ以上に優しい言葉を綴ってくれた、苦しみを分かち合いたいと言ってくれた日嗣を、神依は巫女としても女としても信じた。
 「神依……様……」
そしてその姿を見ていた禊もまた、主に応えるように深く深く頷く。いつかの言葉通り、窮地にありながらも自らの価値さえ高め護ってくれた主を、そこに在る全ての“禊”達に誇るように頷いてみせる。この主のためならば、手足の一、二本など惜しくはない。残された禊達は、各々が一度自らの主と大兄を視界に入れ、けれどもやはり沈黙を守るのみだった。彼らは何も言わない。言えなかった。
 「……」
そして神依はただ、天照の言葉を待つ。月読がそうだったように、もしかしたら、どこかで認めてもらえる節があったのではないかと祈りもした。
 しかし、耳に届いたのは……小さな、嘲りを含んだ忍び笑いだった。
 「……っ、」
それはすぐに高く大きくなり、今度は誰もがその声の主を見遣る。必死の体で放たれた、虜囚の巫女の鬼気迫る訴えに……ある意味では屈しなかった、もう一人の巫女。
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