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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第17章 父が歩んだ道
 ああして全ての心を壊して泣き喚けば、彼女達は一応は満足するのだろう。そしてなお膨れ上がった優越感に、虚構の強さに酔いしれてまたゴミを投げて笑う。何も変わらない。変わらない、淡島の巫女達。
 けれどもその様を見た月の神は怒り、一度は自分を見限った。それが──許されないならば、神依もまた、心を奮い立たせなければならなかった。先程、自らの臣が示してくれたように……示さなければならなかった。
「……」
けれどもそれはとても勇気のいることで、ひとりぼっち、身動きも取れないままそれを口にするのは……ただただ怖かった。もしかしたら自分も同じように傷付けられるかもしれない。今よりもっと、辛い思いをしなければならないかもしれない。
 (禊……。……伍名様、猿彦さん……日嗣様)
神に祈るとは、こういうことかもしれなかった。彼らがくれるのはきっと、直接的な富や幸福、愛ではない。ただそこに至るまでの、ほんの少しの勇気。それは、彼らを信じぬ者に与えられるはずもない。
 ──頑張れ、と言われた。眼下の地は、決して屈伏した時に眺める光景ではない。
 選ぶことの代償を、身を以て教えられた。神依はもう、大切なことは知らず知らず彼らから教わっていた。
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