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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第17章 父が歩んだ道
「──ほんに、可哀想な大弟。そのような婢(はしため)に関わったばっかりに」
「……洞主……さま……」
玉衣は最後に、禊が傷付いたのは神依のせいだと言わんばかりに神依の方をちらりと見て吐き捨てる。
 何を返せばいいのか、もう言葉も浮かばず涙を流すばかりになってしまった神依に、慈悲や慈愛の言葉を投げ掛ける者は誰一人としていなかった。巫女達はその神依の無様を嗤い、禊達は沈黙する。
 そんな中、大兄は手にした瓶を落とし禊の腕をひねり上げると、近くにいた者に縄や紐を求めた。男達は幾人かで納屋を漁り、荷造りや庭木の手入れに使う麻紐や麻縄を庭に運び込むと、またそれを神依にも巻き付けようとその体を引きずった。
 禊も大兄によって拘束され、まるで玉衣の足元に捧げられるように軒先に転がされる。ご丁寧に庭を見られるような向きに体の位置を変えられ、ぼんやりとする視界の中、神依が一人罪人のように晒し者にされるのを奥歯を噛み見つめていた。
 沓脱石(くつぬぎいし)から続く平たい庭石の一つに正座させられ、後ろに回された両手を鞣してもいない麻縄で縛り上げられ……その間、神依はもう何も見えていないように視線を落としたまま、男達のなすがままになっていた。
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