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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第16章 白日の下
だからこそ、今目の前に在るのは過去の自分そのもの。
自らが傷付くことを恐れ、他人を恐れ、怠惰にも信じることすらできず、いかな神の手をも振り払い、主と共に淀み、腐ることを願っていた自分。
それはとても……哀れで、寂しいものだった。本当に悲しいとき、涙が流れる以上のものが込み上げてくるのだと禊は知った。
それは決して嘲りでは無かったが、禊はどこか心が軽くなって……本当に、誰かを背に護れることの誇らしさを知った。
たとえ自らが傷付こうとも、その先に苦難が待ち受けていても、こちら側に立っていることの尊さを知った。
けれども、だからこそ。
そんな弱き魂の者達に、主を傷付けさせる訳にはいかなかった。
「大弟……恐怖に気でも触れたか。いや、お前がそんな殊勝な性根の持ち主だったら、俺はお前を童には選ばなかっただろうな……」
得体のしれない笑いに瞬き怯んだ大兄も、また雰囲気の変わったかつての弟分に苦々しい笑みを浮かべてみせる。
そして禊もまた、その決別に痛みを帯びた声で答えた。
「大兄……私はこれも既にお伝えしたはずです。私は禊として、主にお伝えする必要がないことは元よりお伝えする気はございません」
「……」
自らが傷付くことを恐れ、他人を恐れ、怠惰にも信じることすらできず、いかな神の手をも振り払い、主と共に淀み、腐ることを願っていた自分。
それはとても……哀れで、寂しいものだった。本当に悲しいとき、涙が流れる以上のものが込み上げてくるのだと禊は知った。
それは決して嘲りでは無かったが、禊はどこか心が軽くなって……本当に、誰かを背に護れることの誇らしさを知った。
たとえ自らが傷付こうとも、その先に苦難が待ち受けていても、こちら側に立っていることの尊さを知った。
けれども、だからこそ。
そんな弱き魂の者達に、主を傷付けさせる訳にはいかなかった。
「大弟……恐怖に気でも触れたか。いや、お前がそんな殊勝な性根の持ち主だったら、俺はお前を童には選ばなかっただろうな……」
得体のしれない笑いに瞬き怯んだ大兄も、また雰囲気の変わったかつての弟分に苦々しい笑みを浮かべてみせる。
そして禊もまた、その決別に痛みを帯びた声で答えた。
「大兄……私はこれも既にお伝えしたはずです。私は禊として、主にお伝えする必要がないことは元よりお伝えする気はございません」
「……」

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