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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第16章 白日の下
 ──そして永遠に美しい色の果実を頬に寄せ眺めたまま、その実の極上の甘さとまろやかさはどんなだろうと幻に想いを馳せ、幸せなまま、夢の中でその生涯を終えられたかもしれない。
 大兄かて、今まで通り……そんな幸せそうな玉衣を見つめ、決して収穫されることのない、奪われることもない幸せな幻想の片棒を担ぎ、誰も傷付けない、誰にも傷付けさせない、ぬるま湯に浸かるような日々を送れたかもしれない。
 優しい加害者のまま……忠厚き僕の顔をして、愛しい玉衣の隣に永遠に並ぶことができていたかもしれない。
 少なくとも大兄は──それで良かった。それで満足なはずだった。
 なのにたった一つの言葉すら与えられずその永遠の幻想を破壊され、破壊者はその甘い果実の汁を啜ってこの場に在る。
 ──許せなかった。
 「……っは、ははははは……」
「……ッ!?」
不意に、禊が笑う。
 その破壊者は、本当に馬鹿馬鹿しい問いをされたと言わんばかりに、大兄の前で乾いた声をあげて笑った。
 ……禊にもまた、分かっていた。
 自分が今までいかにこの兄に依存して、また依存されて育てられていたのか、自覚した。大兄もまた、洞主が神依に望んだのと同じ存在を望んでいた。
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