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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第16章 白日の下
 私の方がずっとずっとあなたを想っていたのに。進貢の花もただ一つ。あの子のように、偽善者でもなかったのに。
 私の方がずっとずっと愛の言葉を紡いできたのに。あの子のように──…。
「……」
 気付いたら私は、八尋の大社にいた。そしてただひたすら赤い花を摘んでは捧げ、摘んでは捧げ──信じてもいなかった神に祈った。
 皆、あの子には怒っているのです。あなた様の麗しき弟君と、御寵愛止まぬお孫様を秤にかけて、楽しんでいる子なのです。
 皆、あの子に恐怖しているのです。神の字を振りかざし、端神達を集めては神に成り代わろうとしているのです。
 皆、あの子への罰を求めているのです。皆、己ではなせぬことを神たる貴女に求めているのです。
 人に代わり、一部の人間に都合良く力を奮い、その他の人間を抑え込む。
 それが神でしょう──と。

 「──ならば、それを乞う人とは何者よ」
「……えっ……!?」
そして、赤い花を捧げ始めて幾日かが経ったこの日──不意に背後から聞こえた声に、私は慌てて振り向いた。
 気位の高そうな、少女の声。聞き間違えるはずもない。
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